イヤイヤ期真っ只中のお子さんがいる人は、日々の対応に疲弊していることでしょう。「イヤ!」の真意を理解すると、かかわりやすくなりますよ。
大人からすると、目に見えた危険や高い確率の失敗を伴うものごとに、真っ向からチャレンジする子どもの姿には、心配が先に立ち、つい口と手を出してしまいがちでしょう。
ですが、イヤイヤ期のかかわり方には「口と手を出しすぎない見守り」と「危険や隣人への迷惑をさけるためのしつけ」のバランスが必要だといえます。
イヤイヤ期とは
2歳前後は、それまでの何でも両親にやってもらってきた状態から抜け出そうと、自立するための行動がどんどん増えていく時期で、イヤイヤ期とはその頃におとずれる第一次反抗期のことだ。
自分と他者が別であるとはっきりと区別できるようになり、他の人と比べて「恥ずかしい」や「うらやましい」という感情が芽生え、自己主張や自分さがし(好きなものさがし)をすることから始まる。
それがうまく達成されないと「これは違う!」となるものの、何が違うか、どうすれば自分が満足するかまでは分からず「イヤ!」という言葉と態度になってしまう。
この頃の子どもの思考
イヤイヤ期を「やるやる期」と呼ぶ人を見て、なるほど!と思っていた。
小さい体で、目の前の危険をものともせず、失敗するかもしれないとは1ミリも思わず何にでも挑戦しようとする姿はとてもたくましい。
この頃の子どもは、自分と他者をはっきり区別すると同時に、目の前にないものを頭に思い浮かべることが出来るようになる。
①この階段を上ったら自宅につく(予測)
②お母さんが卵焼きを作って自分にくれたことを思い返しお母さんごっこ(回想)
こんな風にだ。
ただその予測はまだまだ単純なため、階段を急いで上って踏み外す可能性や落ちたらどうなるか、上り終えた目の前の道路に車が走っている、などの危険の察知や予測まではできないのもこの時期の特徴だ。
それに対応する大人の思考
大人はというと、やはり何より危険の回避の方を優先するため、子どもが苦戦するよりも随分と前に口や手を出しがちだろう。
体は小さく、知識や運動能力がまだまだ未熟だからこそ、これをしたらこの先どうなるかという予測も踏まえて伝えるものの、子どもは取り入れないことが多いため、大人には疑問や不満がうまれがちだ。
子どもと親のギャップ
早々と手を貸す大人の行動は、自我が芽生え行動している子どもにとって、せっかく一人でやろうとしているものを止められ自尊心が傷つくものだろう。
それをまだまだ語彙や表現力が多くないため、泣いたり「イヤ!」という言葉で表現する。
また、それまでは自分の要求を十分に満たしてくれていた両親が自分の挑戦を阻止してくることに「味方じゃなかったの?」と不満を持つようにもなる。
危険を回避しつつ子どもの行動をサポートしようとする親のスタイルを、イヤイヤ期の前までは心地よく感じていたものが、自我が芽生えてからは全てを心地よくは感じられなくなったというわけだ。
子どもの成長は目まぐるしい。
だからこそ、その成長に合わせ、大人が子どもへの対応の仕方を変えなければならないことが何度もある。
今回のように乳児から幼児へと成長する時期には、赤ちゃんだと思って接してきた子どもに対して、たった2年で今度は自立の一歩をうまくサポートしなければならないことのようにだ。
おすすめのかかわり方
まず、まだ語彙も少なく、自分の感情を適切な言葉で冷静に表現することはできないため「イヤ」という言葉を使うため、全てが否定的な「イヤ」ではなく、「悔しい」や「わからない」など色々な気持ちを表したイヤであることを理解してあげるといいだろう。
そのため「もう少しだったから悔しかったね」と代弁してあげたり「こうしてみたかったの?それともああしてみたかった?(例えば、ボールを遠くに投げたかった?それとも強く投げたかった?)」などと、どうしたかったのかを聞いて、さらに共感してあげることが大切だ。
次に見守りと、苦戦していたらほんの少しお手伝いをしてあげよう。
子どもは「イヤ」な状態のままでいいと思うはずはないため、自分で考えて助けを求めたり、次の行動にうつしたりする。これはとても大切な経験になる。
その時に「これだけ手伝おうか?」と子どもがよしとする範囲でサポートをしてあげられるといいだろう。
最後に忘れてはいけないのが「ほめる」ことだ。
自分でチャレンジし達成することは大きな自信や自己肯定になるため、それを他の人も十分に評価しているのだということを言葉で具体的に伝えてあげてほしい。
この頃に必要なしつけとは
十分に認め、ほめ、自己肯定感を持たせることは大切だが、この頃には物事の善悪をしっかりと伝えることも重要だ。
基本的に❛抱っこ❜などと甘えてきたときには受け入れてあげられるといいが、暴力的なことや無理を言ってきた時には、抱きしめる前にまず落ち着いて話をして、その後にしっかりと抱きしめてあげられるといいだろう。
しつけなしで抱きしめるのはお互いにとってその場では楽だろうが、ルールの大切さを理解させるきっかけを無駄にしてしまい成長にはつながらない。
また、しつけだけして抱きしめないのも、叱られたというマイナスな感情だけが残り自己肯定にはつながらず、怒られないためにルールを守ることなどになる。
大切なのは、物事の善悪をしっかりと伝えてから十分に抱きしめることで、マイナスな感情から安心や信頼といったプラスの感情へ変化させ、その時の一件を学びにすることだ。
その際には、理由をつけて物事を教えよう。
ルールは何度も繰り返し伝える
『一度伝えたからもうできるでしょ?』
『何回いえばわかるの?』
いやいやとんでもない!
ルールやものの良し悪しは是非何度も何度も根気よく繰り返して伝えよう。
2歳ごろの子どもは、思考力がぐっと上がり考えたいこと、想像したいことで頭はいっぱい。
その頭の隅に入れてある大人の言葉を、よりフォーカスしてもらうには、こちらから何度もその引き出しを開けてもらう作業が必要だからだ。
また伝え方も、例えば「トイレを流しなさい」といった押し付けではなく「トイレは他の人が気持ちよく使うために流してきれいに使うものだよ」と理由をつけて伝達するといいだろう。
頭ごなしに押し付けられる指導が嫌なのは大人も子どもも同じなのだ。
そして、ルールには一貫性を持たせることが大切なため、都度かえるようなことはせず、身近にいる大人は統一して理解・伝達することが大切だ。
この時期にしっかりかかわることは思春期の反抗期にも好影響
思春期の我が子を見て、あーーこんなの初めて・・と思っている人もいるかもしれない。
けれども、成長して言葉や態度がバリエーションに富んでいるだけで、実はもっともっと幼い頃にイヤイヤ期で経験済みだったのだ。
思春期の反抗期は「第二次反抗期」といわれるが、この大きな山に向けての訓練が第一次反抗期であるイヤイヤ期だったのかな、とも思う。
イヤイヤ期の2歳ごろを含み、大体7歳ごろまでは自己中心的に感じる行動が多いが、しつけをしながも十分に肯定してかかわることで、そこで得られた自己肯定感や自信(←自分の行動と親からの愛情の)が土台となり、7歳以降の思考や態度、更には思春期・青年期の迎え方にも大きな好影響をあたえるのだ。
自分で考え行動し、失敗を糧に物事を達成、そして他の人にほめられるという幼い頃の経験は、さらなる自立を試みる思春期で経験値としていきるということだ。
さいごに
イヤイヤ期は子どもが自己肯定をしつつルールを身につけ、大きく成長する大切な時期!
と言いつつ・・家事や仕事もあるのに、意識しなければならないことが多くて、大人の負担は大きいなとも思っています(汗)
ですのでママやパパがリフレッシュできる時間を確保して、気持ちに余裕を持つことで前向きなイヤイヤ期・やるやる期になればいいですね。
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