今回は、前回の【家庭で行う性教育①の目次の1-2-1】を少し詳しく見ていきますね!
具体的にはこんなこと。
- 自分の性器と体の仕組みを知ることはもちろん、異性のそれらをも同じように知ることがなぜ大切なのか
- 性犯罪や低年齢の性体験と妊娠を回避すべき大きな理由とは何か
- 『安全』に性を楽しむこと、の『安全』とは何を指すのか
これらを大人が理解し、いずれ子どもに伝え、そしてまた新しい生命にもこの知識のバトンがつなげられたら嬉しいです。
【両方知ろう】自分の性器とからだ・異性の性器とからだ
まずは「自分の性器」を知ること
<まずは、体の他の部分同様、自分の性器を知ること!ここからはじめよう。>
わたし達は毎日洗顔し、例えばそこに吹き出物を見つけたら薬を塗ったり、それでも悪化してしまったら病院を受診したりするものだ。
喉が痛いとなれば、鏡で見て状態を確認し、腫れていると自覚したりもするだろう。
それは日頃から観察し、自分の知っている「通常の状態」と比べることができるからこそ分かることだ。
性器は体の一部。
他の部分と同じように清潔に保つべきであり、性経験の有無にかかわらず免疫力が下がっている時にトラブルを起こしたり、都度必要なケアがあったりするため【自分の性器の「通常の状態」を知る】ことはとても大切なことだろう。
では【自分の性器の「通常の状態」を知る】には?
↓
男性器は外に露出しているため観察しやすい。
一方大部分が内側に隠れている女性器は見にくいため、女子は一人で鏡を当てて見てみると良いだろう。(データが残りどのようなことがきっかけで出回るか分からないため撮影はしないこと)
中には、我が子が鏡で自分の性器を見たことがあると聞いて、性に興味を持つことを後ろ向きに捉え、ショックを受けたことがある人もいるだろう。
けれどそれは自分の体を知ろうとしている前向きな行動!自分の体を守るためにはまず知らなくてははじまらないから。
だから決して否定せず、大人も前向きに捉えてあげてほしいと思う。むしろそれは性の話を広げるチャンス!
また、小学生・中学生、高校生の中にも経血が尿道口から排出されると思っている人がいるようだ。
↓
女子は鏡で性器を見る際に、尿道口と肛門の間に膣口があることを確認してほしい。
通常の状態の色や肌質・形や大きさなども知り、変化やトラブルがあった際に早期に気付けるようにしておくといいだろう。
「自分の体の仕組み」も知ろう
<次に、自分の体の仕組みを知ろう!>
生命誕生までの過程は本当に神秘的かつ奇跡的で尊いもの。
卵子と精子が受精し、着床し・・といった壮大なドラマが繰り広げられるわけだが、それは男女の体や性器の仕組みが違うからこそ成り立つ奇跡だろう。
・女性の場合
①200万個もの卵子の核となるものを既に持ち合わせながら生まれる。(胎児期20週頃はピークで、700万個も持っている。その数は生後も減少し続け、思春期には30万個程度になる。)
そうそう、これがすごいんです!
胎児の頃から持ち合わせているということは、お母さんのとった栄養で卵子の元がつくられたということ。
いつかその子どもが出産する日が来れば、そのうまれた子は、おばあちゃんのとった栄養が元となった卵子からできた子であるのだ!
②毎月一度排卵が起こり妊娠のチャンスが訪れる。
卵子の寿命は排卵から24時間程度で、それが妊娠にいたらなかった場合に赤ちゃんのベッドとして用意されていた子宮内膜がはがれ、約一月に一度月経がくる。
人によっては月経前症候群(PMS)といってイライラしたり、情緒不安定になったり、強いむくみを感じたりするものだが、男性にとっては理解しきれないものだろう。
男性は女性に対し、調子が悪い時期だと見守り、女性自身は自ら気分転換やリラックスできる環境作りを意識してみることがおすすめだ。
・男性の場合
①思春期から毎日精子が作られ始め、それが老年期まで続く。
精子は精巣の中で平均74日かけて毎日1億2000万個も作られる。
②女性器の中に射精された精子の寿命は3日程度だ。
射精されない精子は何週間か生きた後に老化して死んでいく。
また、精子は数日排出しなければ溜まって溢れるといった誤情報もあるが、溢れることはない。
ただ、定期的に射精して精子を入れ替えてあげるといいだろう。
「異性の性器と体の仕組み」を知ることも大切
<そして、異性の性器と体の仕組みを知ることも大切。なぜなら、自分の体との違いが理解でき、相手の尊重につながるからだ。>
先に書いたように、例えば女性器は複雑で膣口のすぐ前後に尿道口や肛門がある。
そのことを男性がきちんと知らないことにより、無意識のうちにデリケートな部分を傷つけてしまうことがあるかもしれない。
また毎日精子が作られる男性は、女性よりも性的欲求が強い傾向にあることを女性が知らないと、性行為を望む頻度が違うことを苦痛に感じるかもしれない。
そして、お互いの体の仕組みを理解することで、望まない妊娠や性感染症のリスクが常にあることを考え避妊の選択ができることは、性生活には欠かせないものだろう。
このように、愛する人と性行為を楽しむ日が来た時に、自分の体を守りつつ、相手の心身をも尊重できる性生活となるよう、自分と異性の体の仕組みの違いを学ぶことはとても大切なのだ。
☆ちなみに海外では性器の写真を用いて授業をする学校も多いようだが、それはそれまでの学校教育の中で少しずつステップを踏んできたからこそ出来ることだと思う。
わたし達日本人にとってはハードルが高いと感じるため、性器の挿絵が入っている本を活用するのがいいだろう。
子どもに伝える機会では、できるだけオブラートに包まず、本であればページめくりを急がず、1+1=2と同様、学んで当然のこととして伝えてあげてほしい。
思春期の男女が求める性的欲求の違い
上でも少しふれたが、思春期の男女では性的欲求が大分異なることもお互い理解しておきたい。
男子は性的興奮を経験し快感を得たいため、見たい・触れたいと肉体的な結びつきを強く望む傾向がある一方で、女子は腕を組んで寄り添っていたいとか、楽しい時間を共有したい、アイコンタクトをとってドキドキしたいなど、どちらかというと精神的な結びつきを重視し望む傾向にある。
<ちびまとめ>
性器の形も、体の仕組みも、この頃の性的欲求も異なる男女。
まずは自分の体を守っていくために自身の体をよく理解すること。
また今後性行為をするにあたり、異性の性器や体の仕組みを知ることは、相手の心身の尊重につながるためとても重要だ。
逆を言えば、異性にもそれらを学んでもらい、自身の心身を尊重してもらうことも同じようにとても大切なのだ。
お互いが相手の体を理解し歩み寄ることにより、より愛のある性生活を経験していくことになるだろう。
そんな人が増えますように。
性犯罪や低年齢の性体験と妊娠を回避すべき大きな理由
我が子を初めて一人でお使いに行かせる時、わたし達大人は何度も子どもと一緒に道を確認し、車に気を付けるよう伝え、不審者に遭遇する危険性なども教えるものだ。
子どもはそれらの情報を心の武器に意気揚々と出かけ、買ったものを手に、自信をつけて帰ってくるだろう。
性の道も同じだ。道を進み快感や愛する人との深いつながりから新しい幸せを知っていく。
ただそこには危険やトラブルが必ずあるものだ。
それらは知識があれば回避できるものも多いため、わたし達大人が出発する前の子ども達に諭す必要があると思う。
性犯罪~知ってほしいデートDV~
デートDVって知っていますか?
デートDVとは「恋人、交際相手による心とからだへの暴力」で、交際しているカップルの3組に1組で起きている身近な問題だ。
性犯罪は様々だが、今回はデートDVに焦点をあててみようと思う。
なぜなら、好きな人を見つけ、二人での時間を多く過ごす経験を初めてしていく中高生の時期にとても身近なトラブルであり、かつ身近であるにも関わらず加害者も被害者も「これはデートDVだ」と気付きにくいものでもあるからだ。
<デートDVとは>
- 「バカ」や「ブス」や望まないあだ名など、傷つく呼び方をする・・言葉の暴力。
- 自分との予定を優先するよう束縛する・・自分と一緒にいることを強要するのも暴力。
- 携帯の履歴を確認されたり消されたりする・・カップルといえど一方的にプライバシーに入り込んだり、人間関係を制限するのも暴力。
- 無理やり性的な行為をする・・性行為は二人の合意のもとにするもの。一方の欲求で無理やり性行為をすることは暴力。また避妊をしないことも同様だ。
- おごらせる・・嫌だと思っているのにいつもお金を払わせられていたり、無理にものを買わせられたりしていたらそれは暴力を受けていることに。
- 思い通りにならないと、怒鳴ったり責めたり脅したりする・・別れた相手から毎日異常な回数の連絡が来るとか、よりを戻さなければ家におしかけると言うなど。また、別れたくないのがわかっているのに、「言うことが聞けないなら別れよう」といって自分に従わせようとするのは脅迫。
<上のことから分かること>
- デートDVは性的な暴力だけではないこと
- 男子が女子に、女子が男子にと両パターンで起こりうること
- している方もされている方も「これは暴力だ」と認識しにくいこと
デートDVは決して特別なことではないことが分かる。だからこそ「好きだから」または「愛されているからこれくらい普通だろう」などと自分を納得させたりごまかしたり、我慢したりせず、これはデートDVなのではないかと気付けることがまずは大切だろう。
妊娠の可能性は常にある~低年齢での妊娠や中絶のリスク~
同じことをいうが、生命誕生までの過程は神秘的で奇跡的で、本当に尊いものだ。
だからこそ、妊娠を望まないのであればそれを防ぐために性行動に慎重になったり、性行為にうつるのであればしっかりと避妊する必要がある。(これはどの年代の人にも言えることだろう。)
中高生の中には、性行為は避妊すれば妊娠しないと思っている人もいるようだが、妊娠の可能性は常に伴うものだと思ってほしい。「性行為=妊娠ではない」ものの、「性行為=妊娠しないものでもない」のだ。
<低年齢で妊娠した場合>
出産するにしても未熟な母体で出産するには様々なリスクがあるし、産後も日本には海外のように託児付きの学校があったり、教育訓練中の保育料を国にまかなってもらえるようなシステムも整ってはいないため、安定した生活が送れない可能性も十分にあることも理解するべきだろう。
<若年層の人工妊娠中絶件数にふれてみよう>
2018年の10代の出産件数が8778人だったのに対し、同じ10代の人工人中絶件数は1万3588人。
出産件数を相当上回っているのがわかる。
人工妊娠中絶は年齢にかかわらず心にも体にも大きな傷を残す選択だ。その選択をすべきではないとは言えないが、「その選択をすべき状況になるべきではない」とは強く言える。
出産するのにも人工妊娠中絶するのにも、低年齢では特に大きなリスクを背負うことになるということだ。
<ではコンドームをすれば妊娠を完全に回避できる?>
近年避妊方法は増えたが、中高生が身近で選択できるものは、ほとんどの場合がコンドームだろう。
ただ先にも書いたように妊娠の可能性は常に伴い、コンドームだけで完全に避妊することは難しい。
実際にコンドームを使用しても妊娠する人が14%もいるそうだ(これは7組に1組の割合)。
また、装着し慣れていなくて精子が膣内にもれてしまったり、一方が避妊することを拒み、もう一方も避妊してほしいことを伝えきれないまま性行為にいたり妊娠した話もよく聞く。
このように一番身近なコンドームでの避妊が完全ではないことを理解してほしい。
そのため、より避妊の確率が高いピルの服用と、性感染症予防に適しているコンドームの併用が一番いいだろう。
そして何より、妊娠した際に出産もしくは人工妊娠中絶をする覚悟があるかどうかを、お互いがよく考え話し合って性行為をするべきだ。
<ちびまとめ>
性行為には常に妊娠する可能性が伴うと思おう。
どの年代でも、望まないのであれば避妊するべきであるが、低年齢で妊娠した場合においては、出産を選択しても、または人工妊娠中絶を選択しても心身に受けるダメージはより大きい。
そのため妊娠をなかなか受容できない低年齢での性行為は、他の年代よりもかなり慎重になるべきだ。
それには相手や雰囲気に身を任せるのではなく、まず自分自身で性行為では妊娠しうることだと理解し、その上でどういう性行動をとるべきか考えておくことが必要だろう。
好きな人とのスキンシップはインサート(挿入)を伴う性行為だけではない。自分の体を大切にすることを最優先にしながら恋愛をしてほしいと思う。
性とは生涯向き合い楽しむもの。だからこそ『安全』に
【家庭で行う性教育①】を掘り下げているため話の対象が子どもで、トラブルを回避するための話が多く一見ネガティブな発言ばかりに見えるだろうが、あくまでも子ども達を導きたいのは「生涯を通して❛安全に❜性生活を楽しめるようになること」だ。
自分の身を守りつつ、相手をも尊重することなど、ここまで書いてきたことが「安全に性を楽しむこと」につながっている。
妊娠した時に子どもを心から喜んで迎えられるよう、母体や新生児へのリスク軽減、家族の同意、経済環境、自分の精神的自立など本来整えておくべき環境が十分ではないのであれば、性行動に慎重になるべきだろう。
これから性に触れ、いずれ生命を授かる可能性がある子ども達。
正しい性の知識もって、いつか愛する人と素敵な性生活がおくれますように。
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