さて、❛生理のトリセツ❜①、❛生理のトリセツ❜②に続きます。
月経の様子は十人十色です。個人差があり、中には排卵を伴わない月経や、月に何度も来る月経、色々な原因から月経が止まってしまう無月経もあります。
初経から2~3年は無排卵の月経が多いですし周期も安定しませんが、月経がはじまったら排卵の有無を知る目安となる基礎体温の記録をつけたり、アプリ・カレンダーなどに月経日や体調の変化をメモしてみてはどうでしょうか。
自分の月経と向き合えると、月経前・月経期間を快適に過ごせるヒントが見つかるはずです。
また、異変に気付きやすく、月経トラブルや隠れている病気に早期に対応できると思います。
月経異常を感じたら受診を/初経の遅れ・過多月経・周期の乱れ
【正常月経の定義】
①10~14歳で初経が来る(90%の人がこの間に来る)
②月経周期は25~38日
③月経持続日数は3~7日
<無排卵周期症>
ほぼ規則的に月経の出血はあるのに、排卵を伴わないもの。
<過多月経>
経血量が多いことや期間が長いことで健康や生活に影響を及ぼす状態のこと。
貧血や動悸、立ちくらみなどの症状が現れることもある。
一般に標準的な経血量は20〜140ml程度といわれているのに対し、140ml以上の場合。
ドロッとした塊のような出血がある場合は、月経量が多い可能性がある。
<稀発月経>
39日以上たっても次の月経が始まらない状態のこと。(月経の1サイクルは25~38日)
<頻発月経>
前回の月経から24日以内に次の月経が始まる状態のこと。
<遅発月経>
初経が15歳以上18歳未満で訪れるもの。(18歳までに来ない場合は下の原発性無月経)
<早発月経>
初経が10歳未満で訪れるもの。
早発月経の原因となる思春期早発症にはホルモン分泌異常が隠れていることもあるため、検査が必要となる。
<原発性無月経>
満18歳になるまでに初経が来ないこと。 (95~98%の人は15歳くらいまでに初経を迎える)
原因を早めに突き止め早期治療することで状態が改善することも多いため、初経がない場合18才まで何もしないで待つことはあまり勧められていない。
先天性の異常や生まれつきの体質(生まれつき子宮がない、卵巣が機能しない、脳から卵巣を刺激するホルモンが出ないなど)によって起きることが多いといわれている。
<続発性無月経>
これまであった月経が3ヶ月以上ないもの。
環境やストレス、栄養摂取不足や過度なダイエットなど後天的な原因。
アスリートの人など過度な運動に起因するものもある。
ダイエットが引きおこす様々な危険なこと

Dietという英語の本来の意味は、健康や体重管理を目的とした食事療法であり、減量そのものを指す単語ではありません。
ですから食事を見直し減量して理想の体にすることも、体重を増やして理想の体にすることもDiet。
太りも痩せもしていない健康な体を健康的につくることが本来のDietなのです。
日本の“ダイエット”は誤訳された和製英語で、体重を減らすことやその手法を意味することを知っておいてほしいと思います。
ダイエットが引き起こす月経の乱れ
まだまだ『細い=キレイ』という概念があるため、第二次性徴でからだがふくよかになることに抵抗をおぼえ、この頃から痩せようとする人は多いものです。

わたしもまわりの友達と自分の体型を比べて、痩せたい!と思っていた時期があったよ~
大人は、体格の評価方法であるBMIの数値が17.5以下の人、標準体重の85~90%を下回る人は女性ホルモンの分泌が乱れる原因になり、月経不順や月経が止まることに注意が必要で、18.5以上にすることがのぞましいとされています。
児童・生徒はというと、BMIのかわりにローレル指数を用いるものですが、性別や年齢別の標準値が身長による影響を大きく受けて問題視されていて、最近はあまり使用されていないそうです。
とはいえ大人でも子どもでも、無理なダイエットから体重が減りすぎたり、筋肉の付け過ぎで体脂肪が低すぎたり、また食欲不振の痩せであっても月経が止まってしまうことになりかねず、それらが長期に及ぶと不妊の原因になることがあることを知っておきたいですね。
特に成長期である思春期にバランスよく十分に体を育てることは、一生に関係する大切なこと。
『心と体のバランスを大切に』過ごしてほしいと思います。
低体重・低体脂肪で月経がとまる大きな理由の一つ
わたし達の体では生命維持活動が最優先されるため、食事でとって作られたエネルギーはまず心臓を動かすことや体温を保つことに使われます。
生殖に関することは後回しになるため、いざ使おうとしたときに脂肪やエネルギーが足りないと充てることができません。

骨粗しょう症(こつそしょうしょう)
健康な骨を作るために必要なホルモンの分泌が減ってしまい「骨粗しょう症(こつそしょうしょう)」といって骨がスカスカになって骨折しやすい状態になるリスクもあります。
摂食障害
摂食障害は「拒食症」と「過食症」の2つのタイプにわけられ、食行動を中心にさまざまな問題が生じてくる病気です。
単なる食欲や食行動の異常ではなく、体重に対する過剰なこだわりや、 自己評価に対する体重・体形の過剰な影響など、心理的要因が根底に存在しているのが特徴で、ダイエットがきっかけとなることも多いといいます。
<ちびまとめ>
第二次性徴がみられる思春期では、急にまるみを帯びた体つきになり驚きや抵抗を感じる人も多いでしょうが、月経も含み大人の体に成長している大切な過程のため、容姿だけにこだわらず、適度な脂肪をつけて健康的に過ごしましょう!
バランスの良い食事でしっかりとカロリー摂取をし、生殖に使われるエネルギーも十分に確保することが大切です。
お肉(レバー)、あさり、大豆(納豆)や野菜(小松菜)など、鉄分の多い食材を多めに摂ることや、オレンジやブロッコリーなど、鉄分の吸収をサポートしてくれるビタミンCの豊富な食材を一緒に食べることがおすすめ。

ふれておきたい、月経と性行為のよくきく疑問
Q.安全日って確実に妊娠しない日なの?
A.『安全日は危険かも日』です。
予定よりも随分前、もしくは随分後に排卵することもあるので、実は安全日なるものはないのです。
「性行為=妊娠」ではありませんが、「性行為=妊娠しない」でもありません。
妊娠した場合に全てを背負う覚悟があるのかを常にパートナーと話し合い、妊娠を望む時まではどの時期でも全力で避妊をしましょう!
Q.月経中は避妊しなくてもいいのかな?
A.月経中でも排卵が起きていることがありますし、性感染症のリスクが高まる時期でもあるので避妊は必須です。(でも月経中の性行為はのぞましくありません。続きは次の質問で。)
また初経をむかえる前に排卵していることもあります。河瀬直美さんの映画「朝が来る」の設定もそうでした。是非観てみてくださいね。
Q.月経中の性行為はしてもいいもの?
A.のぞましくありません。
理由としてはまず、いつもは酸性の膣が月経の時期はアルカリ性になり、性感染症リスクが上がるからです。
次に、男性も血液に触れて性感染症のリスクがあること。
最後に、抵抗力が落ちている時期なので、子宮内膜症のリスクも抱えているからです。
自分と相手のからだを大切にし、月経の時は肌に触れ合い会話するなど、愛し方の工夫ができることが大切でしょう。
Q.月経中の運動は控えるべき?
A.運動は無理のない範囲で行うことができます。
経血量が多い時や月経痛がある時には安静に、そうでなければ軽度・中度の運動でリフレッシュしましょう。
さいごに
3つにわたり見てくださったみなさん、ありがとうございます!
低用量ピルの普及や月経と付き合いつつキャリアを積むことなど、月経にまつわる課題はまだまだ多いものの、自分のからだを知りポジティブに月経と付き合うことや、愛する人のからだの仕組みを理解しいたわることは素敵な人間関係を築くうえでとても重要なことだと思います。
全ての性の人が知ることで、恋人関係・夫婦関係・親子関係・友人関係がより素敵なものになりますように。
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