(※その後性的同意年齢は2023年7月13日から16歳に引き上げられました!!116年ぶりです。記事はそれ以前のものです。ご了承ください。)
13歳、この年齢を聞いてどんなことを思い浮かべますか?
13歳は中学1年生です。
我が家には10歳の娘がいるので、あ~あとたったの3年だなと思いました。
そんな娘はいつかする恋にちょっぴり憧れ、学校でほんの少し妊娠の仕組みにふれただけ。
娘のような子がほとんどの日本なのに、13歳で性行為に同意もしくは拒否する能力があるとは到底思えません。
2018年、~14歳で出産をした人は37人、人工中絶をした人は190人(内13歳未満の人工中絶数は8人)です。(2018年人口動態統計・2018年度衛生行政報告例より)
日本では、性的同意年齢の引き上げとともに、幼少期からのオープンな性教育が必要だといえます。
いつ我が子が当事者になってもおかしくない、そう思い一緒に学べたら嬉しいです。
性的同意とは
性的同意とは、すべての性的な行為に対して「お互いがその行為を積極的にしたいと望んでいるか(もちろん断ることも含む)」を確認することだ。
性的な行為とはどんなものか、断る方法、伴うリスクまでをも十分に理解していることが前提となる。
そしてその判断が自らできる(同意能力があるとみなされる)年齢の下限を性的同意年齢という。(この年齢に達しない子どもと性行為を行った場合は、同意の有無を問わず処罰の対象となる)
性的同意をとる時のポイントは以下の3つだ。
- 相手が強制されずNOが選択できる状態や環境であること
- 上下関係や社会的地位に脅かされていない対等な関係であること
- 1度だけでなく意思の確認は相手に合わせながらその都度しよう(「手をつないでいい?」「からだをさわるのは嫌じゃない?」「セックスしたいけど、どう思う?」など)
性の知識をしっかりと持ちつつ、自分と相手の心身を常に大切にできること、これに尽きるだろう。
他国の性的同意年齢
他の国の性的同意年齢を見てみよう。
注目は韓国とフィリピンだ。なぜなら韓国では、性犯罪をきっかけに日本と同じ13歳だった性的同意年齢を16歳へと2020年に引き上げたからだ。
また性的同意年齢が世界でも最も低い国だったフィリピンでも、同年に12歳から16歳に引き上げる法案が承認されたのだ。
性犯罪が相次いでいたフランスも2018年に初めて性的同意年齢の設定をした。(その際にも13歳と15歳で議論があって後15歳となった)
- 16~18歳:アメリカ
- 16歳:カナダ・イギリス・スペイン・ロシア・フィンランド・フィリピン・オランダ・韓国
- 15歳:フランス・スウェーデン
- 14歳:ドイツ・イタリア・台湾
- 13歳:日本
日本でも2017年に法改正が行われたが、性的同意年齢は変わらなかった・・・
他国の性教育を少しのぞくと
❛避妊や妊娠までの経過は取り扱わないもの❜としている日本で性教育を受けてきたわたし達には、とても衝撃的にうつる性教育が世界では当然のこととして行われている。
まず学校の授業時間だけを見ても、日本では中学3年間で9時間しかない一方で、オランダやフランスでは20~40時間、それも生物や科学など様々な教科から横断的に学べるカリキュラムが整っている。
内容も、例えばドイツでは避妊法を教える際に、生物の授業内で一人ひとりが、ペニスに見立てた模型に本物のコンドームを装着する練習をする。ピルの学習時間もある。(カリキュラムは各学校に任されているため全校でではないが、国としてしっかりと避妊法を教える方針)
またその授業内容は「今日体育で跳び箱やったよ!」と同じように家庭で話題となり両親や家族でシェアするという。
月経や射精、興奮する仕組みなどを科学的に理解し、両性の性器や欲求、性行為で何が起きるかを学ぶことは、自分のからだと心をより理解し受け入れることにつながり、自己肯定感が高まるものだ。
自己肯定感が高まると大きく2つの効果がある。
1つは自分のからだを大切にするようになること。もう1つは相手の気持ちをも理解し大切にできるようになることだ。
この2つのことにより、性的行動の自己選択ができるようになり、性的同意においても自分の意思を示すことができるし、相手がもしNOという意思を示しても「NO=必ずしも嫌い」ではなく、心身の準備がまだなのだろう、などと受け入れることができる。
世界の性教育は先へ先へと進んでいる。
逆手に取れば見本となるものが沢山あるということだ。日本も追随すべきだと強く思う。
他国との差は「性的同意年齢×性教育」
おかしな話だ。
性教育を十分に行っている国の性的同意年齢は高く、そうではない日本のそれが群を抜いて低いのだ。
ユネスコの調査によると性教育が普及している国では、性行動を慎重化させ、初めて性行為をする年齢も高い傾向にあるというが、日本では「寝た子を起こすな」と、まだまだ古い考えが根強く性教育に消極的であるのが現状だろう。
「寝た子を起こすな」?
いやいや、みんな薄目開けて起きている。
けれど知識を得る場所があまりにも少ないため、メディアから情報を得て、時には作り物の世界であるAVを教科書に、大きく間違った知識を身につけてしまうのだろう。
だからこそ薄目を開けるもっともっと前、「起きる前に正しい知識をあたえる」これこそがあるべき性教育だ。
性被害者・加害者・傍観者にならないためには、このアンバランスな「性的同意年齢×性教育」の現状から抜け出さなければならない。
そのためにも性的同意年齢の引き上げ×早期からの包括的な性教育(学習指導要領の改訂を含む)、これを「同時に」かつ早急に取り入れるべきだと思う。
性的同意年齢は据え置きなのに、婚姻年齢が引き上げられる2022年
そして、更なる問題と言えるのが、2022年に引き上げられる婚姻年齢だ。
現在の成人年齢は男女ともに20歳。 男性が18歳、女性が16歳での結婚が可能だ。
これが民法の改正により、2022年の4月から成人年齢が18歳に引き下げられ、それに伴い、女性の結婚も16歳から18歳へと引き上げられ、男女の結婚できる年齢が18歳に統一されることになった。
性教育が不十分にもかかわらず性的同意年齢が13歳で、婚姻年齢が18歳になれば、若年で予期せぬ妊娠をした場合に結婚することができないことが今以上に増えるだろう。
日本では若年層の出産後のフォロー体制も不十分で、どうしても貧困に陥りやすい。
そしてそこから(経済的・精神的余裕がないことが理由の一部として)虐待を引き起こすこともある。
「若年層の親が虐待」とニュースで流れると、「やはりまだ未熟なんだよ」という声も聞こえてくるが、果たしてそれだけだろうか。
紐解けば根底に、性的同意年齢の据え置き→不十分な性教育→低年齢で出産した場合の希薄なフォロー体制→更に2022年から婚姻年齢の引き上げ、こうした100年以上にわたり脈々と続いてきた日本という国の法律や体制が負の連鎖を連ねてきた面はないだろうか。
もしのぞまない妊娠をして、出産をするにしてもそうでないにしても、一人で悩み、抱え込む若者が増えないことを祈るばかりだ。
まとめ
繰り返すが、性被害者・加害者・傍観者にならないためには、性的同意年齢の引き上げ×早期からの包括的な性教育(学習指導要領の改訂を含む)、これを本来ならば同時にかつ早急に取り入れることが必要だ。
ただ、性的同意年齢の引き上げや学習指導要領の改訂が早々に出来るものではないため、まず今できることは家庭を軸とした性教育の充実化だろう。
学校では他国のような授業時間や踏み込んだ内容を盛り込むことは難しいため、大人が性を学び、是非家庭で子どもに伝えてほしいと思う。
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