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0歳からはじまるオランダの性教育で見えた欠ける日本の連携体制①

性教育とは

リヒテルズ直子さん著「0歳からはじまるオランダの性教育」を読みました。

【性教育とは人間関係を学ぶためのもの。それは多様性を認め合う練習の場でもある。】

うまれた時から性や多様性にまつわる充実した児童書に囲まれ、社会と学校と家庭の三者の連携は強く、平等な学びが得られる環境が整っていることが日本の性教育とは根本的に違う点だと思いました。

つまり多くの人、社会が性教育をタブー視していないという点です!

生殖を学ぶためだけにとどまらない理由は、それぞれが豊かな人生を送るために学ぶべき人間関係の円滑化に性教育が含まれると捉えているからでした。

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日本との大きな違いは幼少期からほどこされている仕組みの有無

思春期に急に短時間で学ぶ日本(それも内容は中途半端)とは違い、0歳のころから性意識や家庭環境に違和感を感じないような配慮が散りばめられ『行きわたった様々な仕組みが施されている文化がある国』であると感じました。(ただ、移民が多く多宗教の信仰があり性意識の差は大きいそうです。そのためオランダに住む人全員が同じ感覚ではないとのことでした。)

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各年齢で学ぶべきことが明確にされている

オランダで性教育が義務化されたのは2012年。
日本では学校では学びきれない必要な性の情報を出前授業で補うと、やれ行き過ぎだ、やれ保護者の許可が不十分だと叩かれ、ニュースにまでなりますが、性教育が義務化されているオランダでは性教育を拒否する保護者はほぼいないそうです。

また、オランダではすでに1960 年代末頃から盛んに行われてきており、保護者自身がこうした教育を受けてきていることも協力体制がとれる理由の一つでしょう。

学年ごとの学習指導要領はなく、初等学校(4~12歳)・中等学校(12~16歳)の卒業段階の終了時の最終目標だけが設定されています。

どの段階で、どの教科の中で、どんな教材を使って授業を展開していくかは学校や教員の判断になるということですね!

幼少期から親しむ本にはもう20年も前から、両親が同性の設定やお父さんが家事を担う設定があるなど、マイノリティの家庭で育つことに本人もまわりも違和感を抱かぬよう、肯定できるよう配慮されているそうです

そのような背景もあり、実際に同性同士の正式な婚姻登録が行われたのは、2001年4月1日、オランダが世界で初めてでした。

また、他者の人格や性意識、発言などををばかにすることなく、お互いがオープンに話せるようになるために幼少期から学校教育でも土台作りが始まります。

それは、あてている焦点が「性教育を通してお互いの性意識を尊重する大切さ、差別の責任を教えること」であるからだといいます。

「性=愛情の問題」であると気付きをあたえ、「性をポジティブに捉えて幸せに歩む」この平等のゴールに向けてうまれた時から仕組みが備わっているのですね。

0歳~

性の問題=人間関係に関わるものですから、信頼関係や愛情を育むためスキンシップをとることを大切にすることから始まります。

わたし達日本人もこれはしていますよね!
性教育を意識はしていないものの、切っているスタートは同じなのです。

初等教育/6歳頃

さて、ここからはわたし達と大きく異なります。

自分の出生に興味を抱くこの頃に、すでに妊娠と出産の仕組みを教えます。
コウノトリが~なんて科学的根拠のないことを伝えることはありません!

出産前のお母さんのお腹はどんな様子だったか?
ではお母さんのお腹にくる前にはどこにいたのかな?

など、6歳の子どもたちが知っていることから話題にし紐解いていくものです。
卵子や精子の存在、それを結合させるには性交が必要であること、胎児の成長の様子と多岐に渡ります。

科学的な根拠に基づき事実を知ることは、余計な情報がまだ入っていない幼少期にはストンと入るものです。

またここでも、スムーズに妊娠に至らず体外受精などをすることや、里親や精子のドナーにより同性でも子どもがもて、同じように溢れんばかりの愛情で子どもを迎えることといった各家庭環境への配慮は大切にします。

偽りのない事実を性に対して恥ずかしいという気持ちがない時期に教えることの大切さを改めて感じました。

初等教育/6~9歳頃

人間関係について学びます。

(例)
①友達と喧嘩した時のきっかけは?
②喧嘩はしていないのにすれ違うきっかけは?(クラスが離れたや、別の友達と仲良くなったなど)

これは実は夫婦(パートナー)関係を築く時の練習にもなっているんです。
相手を尊重するにはどんな方法ややりとりが望ましいかまた自分も尊重してもらうにはどうか、これは友人関係でも風関係でも同じですものね。 

初等教育/10歳頃

オランダの公営放送局が制作しているスクール TV(日本のNHK for schoolを連想しました!) の動画を活用し様々なテーマを自分事として捉え考える授業が展開されます。

スクール TV は性教育に限らず高校までのありとあらゆる科目の授業で使える動画を数千本単位で用意しているそうです。

スクール TV に収録されている性教育関係の動画は大半が9〜 12 歳向けで、テーマは以下のようなものです。

初めてのデート、セルフプレジャー、思春期、胸、ワギナ、ペニス、キス、売春、恥毛、失恋、性交、コンドーム、同性愛、生殖、ノーと言う、月経、裸、妊娠、など

テーマは生殖に限らずとても幅広く、子どもの興味を引くようユーモアも交えて作られた5〜 20 分程度の動画で、教師はそれをもとに子どもたち自身の意見を引き出し、子どもたち同士の意見交換を刺激します。

この動画に子ども達が惹きつけられる理由は、説明するのは本物の医師や生物学者で科学的根拠に基づいて展開されることや、その専門家が若手で子どもたちが親近感がわくように考えられていることす。

また最後に必ずアイドルや政治家、スポーツ選手などの有名人がインタビューを受け体験談やメッセージを伝えるのも興味がわく理由になっているものでしょう。

いかにスッと子どもたちの心や懐に入る、 また「アクティブに、当事者意識をもって学べる仕組み」が考えつくされていることでしょう!

あ~いいな~・・

中等教育/12歳~

中等学校の性教育は実践性が高まります。
学習時間も週に一度、一時間を10週にわたりとります。

例えばホワイトボードに「セックス」と書き、子どもたちが連想する言葉をマインドマップにして共有する授業や、男女の身体や性器の違いについて本物の写真を見せて説明し、生殖と妊娠の仕組みを改めて教える内容などです。

さらに「性病感染」と「妊娠」のリスクについて伝え、実物のコンドームやピルを見せながら安全な性交渉を教えます。
またこれらのリスクがないセルフプレジャーの正当性を認めることも大切にしています。

❛好きになる・デートをする・手を繋ぐ・キスをする・愛撫し合う・性交する❜といった性関係のステップを前に各自に自分はどこまで許容できるかを考えさせ、できないものに線を引いて消すという課題にも取り組むそうです。
境界線は十人十色で、全員が全員のそれを認め尊重することの大切さの学びはまさしく人間関係の学習ですよね!

子どもの相談サイトに子どもが回答する機会がある

また、他にも興味深い取り組みがあったので紹介します。

子ども相談サイトの一つ「お互いに助け合おう」というコーナーでは、[例:無理やりキスをされたが好きな人なので嫌だと言って嫌われるのが嫌で言いにくい・・]などといった問題に、解決するにはどうすればいいか、子ども同士が意見を出し合うそうです。
相談者との年齢が近く親近感が持てるため自分事として捉え、いざ本当に自分の身に同じようなことが起きても対応できるよう練習の場になっているのですね。

出前授業も取り入れている

さらに出前授業も取り入れています!
ここまで各学校で工夫して充実した授業がなされていてもなお出前授業をも取り入れていると知り驚きました。

コンドームのつけ方、セルフプレジャーの肯定、性感染症の検査方法など学校の性教育からさらに幅を広げた内容を学習するそうです。

「性行動してはいけない」は×「してはいけない性行動は何か知る」が〇

前者の「性行動してはいけない」はまさに古くからある日本の視点でしょう!
後者の「してはいけない性行動は何か知る」がはオランダの性教育の視点です。

してはいけない性行動とは①2人の同意がないもの②2人の自由意思でないもの③2人が平等な関係でないもの(強制的であるなど)です。

これらを知り、①~③を大切に性行動をとること、性行動の安全性と危険性を学びます。
そして万が一してはいけない性行動をしてしまった場合に助けを求める大切さも学びます。

日本は前者から後者に転換すべきでしょう!

長くなりました!ここまで読んでいただきありがとうございます。
ただ、まだ書ききれていないので②に続きます!(②で終えられるかな・・)

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