以前、帰省した実家の近くの児童館で、一人のママさんに声をかけられたことがありました。
ショートパンツにタンクトップ、明るい髪に幼さが残る笑顔、彼女は数年ぶりに会ったわたしの教え子でした。
21歳の彼女に子どもの年齢を聞いたら2歳。
お腹には第二子を授かっていると聞き、わたしの中で彼女はまだ制服を着てあどけない笑顔で笑う中学生のままだったからか、何だか不思議な感覚になったものでした。
そしてもう一つモヤモヤする感覚もありました。
あれ?彼女に性の授業したのって・・わたしだ!
せっかくの再会で、モヤモヤが残った理由
実家から遠く離れて生活をしていると、連絡をとって会おうとしない限り、友人や生徒にはなかなか会えないため、偶然の再会はとても嬉しいものでした!
彼女とは、あの頃同じ中学だった同級生が元気にしているか、お互いの旦那さんはどんな人か、子育てを楽しんでいるかなど、昔とは少し違った関係で色々と話しました。
ただ、話す中でもわたしの頭の中は計算や心配ばかり(汗)
・21歳で2歳の子どもがいるということは19歳で出産、ということは18歳で妊娠だったんだな~
・高校卒業は?したのかな・・
・ご両親との関係は順調なの?得られている協力はあるの?
最後は、彼女がいま幸せならいいなということと、幸せになるための今までの道のりで流した悲しい涙が少なければいいなと思ったものでした。(←いま考えるとこれはわたしの責任逃れ・・)
それでも耳に入るのは、同級生とは生活時間が合わず疎遠になっていること、子どもは可愛いものの旦那さんの協力があまり得られず毎日くたくたなことなどで、やはりどこか引っかかるものがあったのです。

わたしが授業でした性教育は不十分極まりなかった
残念ながら日本の性教育は遅れに遅れています。
学習指導要領では、避妊や妊娠までの経過は取り扱わないとするため、わたしも何の疑問も持たずに決められた時間の中で、決められた内容だけを教えていたものです。
ただ、先ほどの彼女と再会し、中学生という多感な時期の生徒たちに対し、学校教育という平等に学びを得られるべき場で、そのチャンスをいかすことなくあの頃を過ごしていたのではないかと、自問自答するようになりました。
今では、校長や保護者の許可を得て、踏み込んだ性教育(自分のからだを知り命とともに大切にすること、家族計画をふくめた人生設計を立てること、その中で妊娠が必要のない時期なら全力で避妊すること、その避妊方法など)を行い、彼女にも他の皆にも届けるべきだったと思っています。
<こうして、機会があるならば再度性教育を学び、それを伝える活動がしたいと思うようになりました。>
若年層の妊娠出産を危惧する理由
愛する人と心を通わせながらまじわり、奇跡的なタイミングで精子と卵子が出会い、受精し、着床し、出産する、こうした過程は本当に神秘的で素晴らしいことですよね。
ただ「子どもをもつ」とは出産がゴールではないのは当然で、うまれた子どもは満たされた環境で育つべきだろうし、親は十分に心身ともに支援がある状態で子育てをするべきです。
それを踏まえるとやはり若年層の妊娠出産は、未熟な母体へかかる身体的負担のみならず、環境が十分に整っていないことが背景となり感じる精神的負担も大きいことでしょう。
なぜなら経済的不安定、配偶者との関係の不安定などの社会的リスクから、本人や家族の妊娠受容が難しいからです。
このことから、10代で妊娠と出産を経験した彼女も、妊娠の受容が本人・配偶者・両家族で前向きにできてきたものならいいなと思ったのです。
もう一つのきっかけ

わが家の小学校高学年の娘も、心と体が大人へと移行している時期です。
そんな娘がある日こんなことを言ってきました。
「友達が、生理(月経)がそろそろ来るかもしれない年齢だっていうことも、生理がなにかも知らなくてびっくりした!」
初経を迎えた時にきちんとした知識がなければ、「ある日突然出血!!しかも下半身から急に・・」ということになりますよね!
驚きや不安を感じるのはもちろん、恐怖すら感じることにもなりかねないことです。
月経は神秘的、そして素敵な力。そのスタートをきる初経なのに、病気だろうと勘違いする子もいると聞くので、そんなことはあってほしくないと本当に思います。

聞いてみたお母さんたちの気持ち
その後何人かのお母さん達と話をしていたら、わが子に月経の話をするということに対してもつ、こんな思いが分かってきました。
- 月経の仕組みを教えるべきだと、必要性は十分に理解していること
- でもなかなか向き合って説明するきっかけがつかめずにいること
- 小学校で教えてもらっているだろうと思っていること
中でも、向き合って説明できずにいる理由はいくつかありました!
- 自分も親に教えてもらっておらず、何から説明していいかがわからない
- 自分の知識が正確か自信がなくて伝えづらい
- 妊娠までの過程を掘り下げて聞いてこられたらと思うと踏み出せない
今の学校教育では性教育の指導は十分ではないため、家庭が軸となるべきです。
とはいえ、伝えるべき親が尻込みしていては、子どもも同じように尻込みする分野へと連鎖してしまうでしょう。
<であれば、わたしがその連鎖を断ち切るお手伝いがしたい!これがもう一つのきっかけとなりました。>
さいごに
自分のからだを知り、命と一緒に大切にし人生を送るための性教育。
教員だけが学べばいいわけでも、それを子どもだけが知ればいいわけでもないですよね!
年齢、職業、性別、国籍とわずみんなに伝えたい。
でもそれよりも、意識せずとも性に関して知りたいことや知るべきことが十分に学べる社会になりますように。
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