スポンサーリンク

熊本市がとる母子支援の協力体制~内密出産~

その他

熊本市の慈恵病院が19年末から独自に取り組む内密出産で、21年末に10代の女性が赤ちゃんを出産しました。

法に触れる可能性があるためと内密出産を控えるよう病院に求めてきた熊本市でしたが、今回の件では子どもの権利を擁護するなどの観点から母子支援に協力することを示したとのことです。

慈恵病院が行う内密出産とは?

子どもが「出自を知る権利」を保障するため、母親が病院の担当者(新生児相談室長)だけに身元を明かし出産し、一定の年齢に達した子どもが望めば出自を知ることができる仕組みのもと行われる出産。(情報は病院で保管し将来的に子どもに開示する仕組みを想定するもの)

狙いは、予期しない妊娠をした女性が母子ともに危険な孤立出産に追い込まれるのを防ぎ、病院で安全に出産することです。

今回は母親の名前を記さず匿名で出生届を出すことを前提に、赤ちゃんの特別養子縁組を望む書面を作り退院しました。

安全な出生を最優先した姿勢だと思います。

蓮田健院長の言葉とその真意

蓮田健院長は
「赤ちゃんの遺棄や殺人をなくしたいというのが目標。そもそもの目的に立ち返ってご理解いただきたい」
と訴えたといいます。

「安易な育児放棄を助長するという批判はあるかもしれないが、まずは赤ちゃんには罪も責任もないというところから始めなければ
とも言っていました。

立ち返って理解すべき「そもそもの目的」とは

「赤ちゃんの遺棄や殺人をなくす」というのが目標で、「罪も責任もない赤ちゃんを無事に保護する」ことが目的でしょう。

同病院は、07年から赤ちゃんポストを設けてきた経験があります。

20年までに59人を保護し、その半数が自宅などでの孤立出産していたことからも、母子の安全が守られていないことが浮き彫りになっていたとのことでした。

「やむなく選択される」内密出産

内密出産は、安易な性行為で妊娠した人が気軽に選択する、などというものではありません。

なぜなら「やむなく選択される最後の手段」だからです。

今回も中絶の選択肢はなかったのかの問いに、出産した女性は「子どもの父親であるパートナーにはDVを受けていたし親に妊娠したと伝えることができなかった。」と言っていました。

今まで孤立出産は多くの事件をうんできました。
よきせぬ妊娠だけではありません。
知的障害や親からの虐待などで妊娠後相談ができない人達が持つ選択肢は多くないのです。

性暴力や経済的事情など、様々な理由でその選択をせざるを得ない人がいるという現状をわたし達は今一度深刻に捉えなおさなければいけません。

☆赤ちゃんの保護だけではなく、孤立出産を減らすべく、妊娠相談ができない立場に置かれている人たちの支援が早急に必要ですよね。

内密出産の課題

内密であっても安心して出産できる環境を用意するには課題が沢山あります。

戸籍

まず、戸籍法では親の名前を記さずに出生届を出すケースを想定していないため、出生届の受理・戸籍の作成が課題となりました。

今回は、【名前を空欄で出した場合に刑法の公正証書原本不実記載罪にあたるおそれがないか】蓮田院長が法務省に照会したところ、熊本地方法務局は公正証書原本不実記載罪にあたるかどうかの新見解は示さなかったものの、赤ちゃんの戸籍記載を優先しそれに病院側が協力するよう求める回答があったため熊本市と協議を進めることになりました。

熊本市と慈恵病院は熊本地方法務局から示された見解に基づき、首長職権で赤ちゃんの戸籍を作る手続きを進めています。戸籍法では、親が分からない場合、自治体の首長が名前や本籍地を決め、赤ちゃん一人だけの戸籍を作ることができる

ただ気になるのは、現行法の規定で「例外的に」赤ちゃんの戸籍が作られる見通しになっているため、今後あり得る2例目3例目にどのように対応していくかです。

※2022年2月、蓮田院長が国会に招致された際、法務省と厚労省は内密出産が行われた場合の戸籍の作成などについてガイドラインを策定する考えを示しました。
これについて蓮田院長は、今後の熊本市との協議の場で検討することを求めたと明らかにしました。

医療保険

医療保険の問題もあります。

子どもは通常被扶養者として親の健康保険に入るので、親が不明の場合は保険に入れません。(赤ちゃんポストに預けられた子どもの医療費は保険請求はできず、これまでは熊本市が負担しています)

出自を知る権利

赤ちゃんは法的な保護のもと育つのか、母親の身元の管理は確実か(保管する民間の病院が廃業したりする恐れ・長期間の保管ルールなどがないこと)、そして子どもの出自を知る権利が守られるのかという課題もあります。

前例がないため課題は都度増えていくでしょうが、だからこそ今後のためにも法整備の必要性は大きいと思います。

忘れてはいけない母親側の支援

課題があり支援すべきはうまれてきた子どもだけではありませんよね。

例えばDVを受けていた人であれば、匿名で出産したからといって相手男性との関係をそのままにすれば暴力が続く可能性は大きいでしょう。

また家族にも周囲にも子どもを産んだことを隠さざるを得ない状態は精神的にも大きな負担となり、かえって女性を孤立させかねないともいえます。

内密出産が制度化されているドイツ

ドイツでは内密出産が制度化されています。

2000年代はじめから民間団体が引き受ける形での匿名の出産が進み、14年に内密出産法が施行されました。
妊娠相談所を全国に設置し、病院や家庭裁判所などの関係機関が密に連携し内密出産希望者を支援します。
費用も国が負担し、24時間年中無休のホットラインがあるなど相談窓口の敷居を低く最終的に匿名で出産を望む場合【母親の実名・生年月日・住所を記載した証明書を行政機関が保管する、子どもが16歳になると証明書を閲覧できる】というものです。

さいごに

内密出産や孤立出産、これらは普段の生活とかけ離れている話に思えるかもしれません。

ですが実はかなり身近な話です。

同意がある場合でも、ない場合でも、性交すれば妊娠する可能性があるからです。

望まない妊娠をしたかもしれない際に72時間以内に内服するべき緊急避妊薬の知識がない人人工妊娠中絶の可能週数を知らない人、何よりも相談できる大人がいない人(受け止める親や大人にも課題は多いですね)はまれではありません。

悲しい事件を増やさないためにも、孤立出産を減らすべく人間関係構築も含む性の知識の習得と、それでも起こり得る孤立出産や内密出産の日本の支援体制が徐々にかわることを願います。

どんな事情を抱えていても無条件で新しい命の誕生を祝福でき、社会が全力で子育てを支援することができたらいいのにと。
高望みしすぎでしょうか。

【Amazon.co.jp限定】 ティファール フライパン 鍋 9点 セット ガス火専用 「 インジニオ・ネオ ブラウニー セット9 」 パワーグライド 4層コーティング 取っ手のとれる T-fal 【ガス火専用】
毎日の料理に大活躍する、ニーズの高いアイテムを集めたセット 【中面】 ミネラル粒子4層のパワーグライドコーティングで耐久性をアップ。金属ヘラも使える (※ソースパンはトップコートがない3層構造) 【底面】 熱伝導に優れた成分を配合、底面全体...

コメント