【0歳からはじまるオランダの性教育で見えた欠ける日本の連携体制①】の続きです!
前回、オランダでは幼少期から性意識や家庭環境に違和感を感じないような配慮が散りばめられつつ、段階を踏んだ性教育が社会と学校と家庭の三者の連携により成り立っていることと、その内容の一部を紹介しました。

今回は、2012年から始まった❛ヘルシースクールプログラム❜という学校全体で学びやすい環境を整えようとする取り組みについても見ていきたいと思います。

ヘルシースクールプログラム
保健局の助言をもらい「生徒×教員×保護者で学校を丸ごと健康共同体にする」、つまり子どもたちの成長を支援する場所自体をとことん安全でとことん健全にしようという学校主体のプログラムです。
学習環境・学習方法・教員と保護者と生徒の関係性など多面での分析と改善を指すため、大きな説明の仕方になってしまいましたが、このオランダのヘルシースクールプログラムでは、子どもたち中心であることを大切に、各学校で「自己肯定感を高めること・相手を尊重する姿勢を学習することの練習の場」として整えることを目的としています。(イエナプラン教育もオランダで普及しています!)
日本では学校での性教育が学習指導要領の壁に阻まれているように、大人が作った多くの規則で子どもたちを守りつつも縛ってしまっている気がしますが、オランダでは学年ごとの学習指導要領はなく、各卒業段階の終了時の最終目標だけが設定されているため、それぞれの学校の環境や状況に合った対応が常に必要となります。
より頻繁に問題点の確認をし、あれば都度修正し提供していくスタイルは、型にはまることなく対応ができ生徒たちにとってとても充実した学習環境といえるでしょう。
プログラムが取り入れられたきっかけ
きっかけは、生徒たちの健康な学校生活が脅かされているという学校側からのSOSを国がキャッチし、国が保健局に協力を要請し、地域の保健所の支援が得られるようになったことでした。

オランダの性教育普及の原動力は、世界人口の急増による貧困の拡大の危惧から始まって、女性や性的マイノリティの人々による解放運動に広がりを見せたものだよね?

決して学校教育の専門家から始まったものではなかったのにもかかわらず、こうした学校の安全かつ健全を目指すプログラムに性教育が含まれているんだね!
それは性教育が子どもたちの自律には欠かせない学びであることだと当然のように多くの大人に認識されているからでしょう。
❛自律❜が意味するものとは
ここでの❛自律❜とは全てのことを自分でこなせることではなく、自分で出来ることと出来ないことを認識し、必要な際には助けを求められることを意味しています。
学校とは、マイノリティ、マジョリティ、全員のそれを可能な限りできるようにする場なので、その大切な場を整えることは欠かせないということですね。
そして自律の経験の積み重ねこそが、自己意思を持ったりそれを伝えたりする練習となり、自分と相手を思い合える性行動の決定につながるのだとも思います。
学校と保健所の連携
校内にはヘルシースクールプログラムの担当教員がいて、保健所と連携し自分の学校を様々な点から分析し改善する活動をしています。
保健所の支援はパワフルですし、避妊具や避妊薬の製造会社の社員が生徒や保護者向けに説明会を開くなど様々な団体が子どもたちや学校のために貢献しているようです。
鍵は教員の固定観念
大人の性に対する受け入れ方が柔軟なオランダでももちろん性意識や性に対する考え方は人により様々です。
人それぞれで当然ですよね!
とはいえ性教育の多くは学校で学ぶもので、更にはオランダでは学習内容や指導法は教員中心に学校側が決めるため、教員の固定観念の開放が鍵となります。
そのため教員のプライバシーや性意識も尊重されるよう、保健所のフォローのもと、教員、生徒、保護者がともに学ぶ体制がとられているそうです。
保護者参加型の催しものも多く開催されるため、教員と保護者の距離が縮むそうですが、やはり教員や学校と保護者が同じ方向を向いて子どもの学習をサポートすることはとても大切ですよね。
一方日本では

学習指導要領をかえることが難しい→教員の固定観念を開放しにくい→保護者を巻き込みにくい→生徒に学習してもらうところまでたどり着けない、これが今の日本の性教育の学習の現実です。
性教育は人間関係を学ぶためのもの。
そんな意識がもっともっと浸透して保護者を巻き込み、教員を巻き込み、学校や国がかわればなと思います。
今回読んだ本の著者であるリヒテルズ直子さんと意気投合し、地域から日本の教育を変えていこうと活動されている柏市議会議員の山下洋輔さんのような方もいらっしゃるので、地域から広がる学校・教育改革にも期待したいです!
☆山下洋輔さんのウェブサイトはこちらから。「相乗効果を生み出すワイドスクール(学校の複合施設化)」についての記事はこちらから!☆
さいごに
次回で0歳からはじまるオランダの性教育シリーズは終わりです。
日本では早期の性教育が寝た子を起こすと、まだ一部で嫌煙されていますが、実際に早期性教育を受けられるオランダの未成年の性交渉体験率は高いのか低いのか?!を紹介したいと思います!
いつも読んでくださりありがとうございます。
ではまた次回~
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